Laser Tracker ターゲット情報、トラブルシューティング、使用、整備
概要
FARO Laser Tracker は、レーザー光線と 2 つの角度エンコーダで光学ターゲットの 3 次元の位置を測定します。トラッカーにオプションの干渉計 (IFM) が取り付けられている場合は、ヘリウムネオン (HeNe) レーザーを照射し、それがターゲットに反射します。ADM 専用のトラッカーには、同じの波長の赤色の光線を生成するレーザーダイオードがあります。 トラッカーは、戻って来る光線の位置を検出し、それに従います。ターゲットの 3 次元の位置が、ターゲットまでの距離、および角度エンコーダの方位角と天頂角から計算されます。本書では、レーザートラッカーのターゲットの仕様、推奨用途、お手入れおよびトラブルシューティングについて説明します。
トラッカーの光学ターゲットは、レトロリフレクター(または再帰反射器)と呼ばれます。レトロリフレクターには、互いに垂直な、3 つの隣接する反射率の高いパネルがあります。3 つのパネルがキューブの内側の角のように見えるため、コーナーキューブと呼ばれることもあります。レトロリフレクターは、すべての光線を平行なパスに反射するため、トラッカーの光線は、その向きにかかわらず、リフレクターに平行に入り、リフレクターから平行に出て、トラッカーに戻ります。
トラッカーでレトロリフレクターを使用するには、いくつかの要件があります。反射率、二面角および偏光特性には、すべて重要な仕様があります。さらに、レトロリフレクターは、ボールまたはプローブアセンブリに高精度で取り付けなければなりません。
FARO Laser Tracker で使用される主なターゲットは、1 ½” SMR (Spherically Mounted Retroreflector) です。SMR のサイズは 3 種類あるほか、2 種類の RetroProbe、リピータビリティーターゲット、2 種類のサイズの新しいブロンズ SMR があります。
反射率
FARO Laser Tracker では 2 種類のレーザー光線を使用する 2 つの距離測定システムを使用します。HeNe 光線はトラッキングと干渉計 (IFM) の距離の測定に使用され、赤外線光線は絶対距離測定 (ADM) に使用されます。ターゲット反射面のコーティングは、HeNe および赤外線レーザー光線波長の両方の仕様を満たす必要があります。
二面角
二面角は、レトロリフレクターの各パネル間の角度です。90 度からの偏差で表されます。完全なレトロリフレクターでは、二面角は 0 となります。隣接するパネルの二面角の差を評価することも重要です。下表に、角度との角度差の仕様を示します。
偏光
大型のレトロリフレクターには、偏光を一致させたパネルがあります。レトロリフレクターが光線に対して傾斜している場合、パネルの不一致により、干渉計でカウントするために必要なコントラストが変化することがあります。小型のレトロリフレクターは、そのような影響が生じるほど傾けることができないため、パネルを一致させる必要はありません。
センタリング
レトロリフレクターの頂点は、ターゲット仕様に従ってボールまたはプローブにセンタリングしなければなりません。SMR のセンタリング仕様は、放射状となります。RetroProbe には、横方向と放射状の仕様があります。
推奨される使用および取り扱い
センタリング誤差の影響を最小限に抑えるには、すべての測定で、SMR を同じ方向に保持する必要があります。シリアル番号が上を向いていることを確認することで、再現性と精度を簡単に向上させることができます。
トラッカーの真後ろで SMR のターゲットを設定することで、偏光の不一致および光線クリッピングの影響が最小化されます。
SMR とターゲットネストに異物がないことを確認します。SMR で使用する磁気ツーリングは金属を引き寄せやすく、付着した金属が SMR およびツーリングの読み取り不良の原因となる場合があります。
SMR および RetroProbe を清潔に保ちます。ホコリや異物は、缶入りの圧縮空気を噴射して反射面から除去する必要があります。必要な場合は、表面を無菌綿棒および水蒸気でクリーニングすることができます。表面に慎重に息を吹きかけ、綿棒で拭きます。表面を拭きながら、綿棒を軽く回転させます。綿棒を再使用しないでください。水蒸気で汚れを取ることができない場合は、変性アルコールを使用できます。
注記: 反射面のコーティングは、ターゲットの性能にとって非常に重要です。クリーニングによって表面の反射率が低下する可能性があるため、クリーニングは必要な場合にのみ行ってください。
トラブルシューティング
トラッカーの性能は、トラッカーとターゲットが仕様を満たしているかどうかに依存します。下表に、性能の問題、および関連する重要なターゲット仕様を示します。下に示す性能の問題に関する定義。
性能の問題: ターゲット仕様
ダイナミック再現性、頂点のセンタリング、二面角
バックサイトエラー、二面角
IFM ドロップアウト偏光、反射率
点間精度、頂点のセンタリング、二面角
ADM が無効、反射率
ダイナミック再現性
ダイナミック再現性とは、取り外され、再配置されたターゲットの再現性です。
バックサイトエラー
バックサイトエラーとは、フロントサイトとバックサイトモードで測定されたターゲット位置の違いです。報告されるバックサイトエラーの値は、測定範囲における最悪条件下での単一点誤差の 2 倍です。
干渉計ドロップアウト
干渉計 (IFM) では、HeNe レーザーの ¼ 波の増分をカウントして距離を測定します。IFM カウント漏れが発生した場合、カウントができなくなり、レーザ外れと報告されます。レーザー外れが発生すると、トラッカーでは、レーザー開口部の近くにある緑色のライトが点滅して作業者に通知します。アプリケーションソフトウェアでは、測定不能となります。
2点間精度
2点間精度は、測定された 2 点間について計算された距離です。
ADM が無効
赤外線光線の反射強度が高すぎるか低すぎる場合、ADM の読み取り値が無効になることがあります。